Momoko ブランドをスタートさせるときにテキスタイルのデザインをお願いできる人を探していて、共通の知人を介して知り合ったのが始まりだったのかな。実際に会うまでは作風とアーティストということでストイックな印象を勝手に描いて緊張していたら、もの凄く柔らかな空気感を纏った人が現れたことに逆に驚いたのを今でも覚えている。
Kanako アーティストっていうと身構えてしまうよね。凄いギャップだったね(笑)。「感覚がフィットすると思う」と会う前から言われていたけど、実際会って仕事の話しを始めると色に対する感性が似ていてビックリしたのを私は覚えている。
Momoko 本当に。この連載1回目自宅で撮影をしたときに紹介したペイントも直ぐにお願いした記憶。今でもあのペイントは我が家のインテリアの主軸となるアートピースです。
Kanako 嬉しい。あれももう随分と前だね。あの頃桃ちゃんもセメントでいろいろなものを制作していたよね・・・。
Momoko そうそう。妊娠していて家に居ることが多かったからAmazonでセメントをオーダーして花瓶とかつくっていたね(笑)。あとからペイントを施したりして。確かにあの時期かなりハマっていたかも。
Kanako 今はもう制作していないの?
Momoko 今はブームが去った感じかな。
Kanako そっか。結構素敵だったのに。桃ちゃんが何かにハマったときの注ぎ込む熱量が凄い印象あるな(笑)。まぁ、仕事に関してはいつもだけど。桃子100%だよね。
Momoko 確かに。自分が気になったものやことはかなり掘り下げる。凄い集中力で。でも、香菜子さんも私の中では凄い熱量のある人って印象ですよ。
Kanako 自身の作品に取り組み始めると特にそうかも。自身の個展用の作品は依頼されたものと違って自分の感情がストレートに出るから1度スイッチが入ると気持ちの切り替えができないくらい。テーマによっては急に泣き始めて情緒不安定になってしまうくらいプラスの感情とマイナスの感情が入り混じっていて生活もままならないくらい。自分でも怖い!って思うもん(笑)。自身の作品に取り組むときはイラストの仕事や依頼されてする仕事とは一緒にできないの。だからスケジューリングが難しいんだけどね。
Momoko 以前お願いしたUN3D.のライブペインティングのイベントのとき、その部分をほんの少しだけ垣間見た気がする。UN3D.のお客さまがPCとか思い思いの物を持って来て、そこに香菜子さんがアクリルペイントでペイントするイベントで、もの凄く短い時間で作品を仕上げる集中力とパワーに圧倒されて、周りで見ている人がグイグイのみ込まれていくのを肌で感じられた。あの時のお客さまを惹き込んでいくパワーが凄かった。だから次回の3月のイベントのときはもっと最初に香菜子さんのライブペインティングのパフォーマンスに重きを置いてイベントを進めたいなと思っているの。
Kanako 次回のイベントも今から楽しみ。前回もそうだけど、同じPCでもその人から感じたものが投影されるから一期一会だし。ライブ感みたいのも楽しいし。前回は終わった後ライブペインティングハイみたいな心地いい感じだったな(笑)。
Momoko 次回は難しいけど、今後もっと幅を広げてコラボレーションしていけたらと思っているの。例えばもっとライフスタイルと直接結びつくような土もの。例えばお皿や器みたいなものとか。
Kanako 今私が使用しているペイントとの相性もあるから、少し細かく下調べをしないと現状のままでは難しいかもしれないけど、いいね。土もの。私、個人としても今凄く興味があるし、桃ちゃんのUN3D.とのコラボレーションって考えるともっともっと違った広がりがあると思うし、ぜひ挑戦したい!
Momoko 香菜子さんの以前の個展に『GROWNITY』というのがあったじゃない。人間の生み出すさまざまの感情の増殖を“humanity”、植物が成長過程を“grow”とした造語で『GORWNITY』あのとき初めて香菜子さんの抽象的なだけじゃない、具象が混じった作品を見てとてつもないエネルギー感じたから、まずは花器とかはどう?
Kanako やっぱり個展って自分の作品の発表の場でもあるけど、見てくれた人がこうして次の仕事に繋げてくれたりもするのが素直に嬉しい。花器いいね。これ、桃ちゃんと私の次なるコラボレーションの課題だね。まだ3月のイベントも終わっていないのに次の話しが生まれる関係性も嬉しい!
Momoko 自分たちで言うのも何だけれど、私たち目標に突き進むパワーあるよね。
Kanako ある意味貪欲(笑)。そのあたりのパワーバランスも似ているのかな。
Momoko そうかも。常に思ったことは行動に起こさないと何も始まらないし。まずは行動あるのみ。その途中の失敗も糧となるし。2018年SSのルックブック用に5×5メートルのキャンバスにペイントしてもらった作品も閃きから推し進めたけど大成功。あれを使ってまた今度新しい展示も考えているのでまた相談しますね。
Kanako 自分の描いた同じ作品がまた次に違った形で活かされるのは嬉しい。
Momoko UN3D.としては佐々木香菜子の描くアートのようなテキスタイルは今後ももちろん続けていくけど、今後はもう少しUN3D.のコレクションに香菜子さんが興味を持ち始めている抽象的でない、もう少し具象化されたペイントをどう落とし込んでいくかが最大の課題であり楽しみかな。
Kanako まだスタートしたばかりの具象化。人を描くのならその人そのものを描くのでなく、その奥に見える何かを描きたいし、花もそのものでなく花の香りだったり、そこから自分が感じとるものを具象的に描きたいと思っているの。それをどうUN3D.のファッションに桃ちゃんが落とし込んでくれるのか凄く気になるところ。
Momoko お互い軸にあるものはブレることがないけど、ファションとアートの融合というと少し大袈裟に聞こえるかもしれないけど、そこで起る化学反応みたいのをこれからも楽しみながら変化していきたいね。